聞きたかったこと、知りたかったことの答えがあるかも!?
これまでメンバーから寄せられた質問・相談に、アドバイザリースタッフがご回答しています。

相談ファイル:No.14

相談者
捕ってからのスピードを上げるための効果的な練習方法はありますか?
金堀先生
質問者さんは捕手をされているとのことですので、捕手が2盗時に2塁送球する際の、「捕ってからのスピードを上げる」ということを目的として解答させていただきます。

捕手にとって、盗塁を阻止するためには
① 速いボールを正確に投げる。
② 捕球からボールリリースまでの時間を短くする。
以上の2つに大別されます。①に注視されがちですが、筑波大学のこれまでの研究において、プロ野球でゴールデングラブ賞6回、最優秀バッテリー賞4回などを獲得している球界を代表する捕手Aは、他の2軍捕手に比べて①では劣っていたものの、②が早かったため、捕球からセカンドベース到達までの時間が短かったという結果が得られており、②が重要であることがわかっています。

では、その②の早さの要因について検討した結果、捕球時から軸足となる右脚(右投げの場合)を踏出す局面において、右足の接地までの距離および時間が短いこと、右足接地からボールの位置が最も高くなる時点(いわゆるトップ局面)までの時間が短いこと、以上の2つが重要であることがわかりました。
以上のことから、質問されている「捕ってからのスピードを上げる」ためには、①の右脚を大きく2塁方向へ踏出すのではなく、小さくかつ素早く接地させることが重要です。また、右足接地からトップ局面までの時間を短くし、尚且つ、その後の送球もできるだけ速いボールを正確に投げる必要もあるため、バランスを安定させた状態でトップ局面を迎えることが重要になります。①につきましては、技術的な要素ですので、この回答を参考に練習していただければと思います。②につきましても、技術的な要素が大きいですが、捕手の捕球時の低い姿勢から一気にトップ時までの全身を持ち上げる脚力と、姿勢を安定させる体幹の強化も必要になります。
よって、以下のドリルをお勧めいたします。

① 片足バランス
throw
② レッグランジ
throw
③ ボックスステップ
throw
④ V字腹筋
throw
⑤ X字腹筋
throw
⑥ 四股踏み
throw

また、野球力ドリルにはありませんが、上記した技術ポイントを意識して捕手の捕球時からトップ局面までの動きをできるだけ素早く行う動作を、繰り返し行うことで、下半身と体幹のトレーニングも十分に行うことができるでしょう。

野球コーチング

金堀 哲也氏 Tetsuya KANAHORI

筑波大学大学院 人間総合科学研究科 体育学専攻 修士課程修了。
野球力プログラムアドバイザー。
硬式野球部コーチ(2008~)。
首都大学野球リーグ首位打者1回、ベストナイン2回獲得。

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