相談ファイル:No.16

相談者
外角の球を打つにはどうすればよいですか。
金堀先生
バッティングはコースや高さ、球種の違い、硬式球、軟式球に関わらず、的確にボールの芯とバットの芯を衝突させることが重要になります。
その中で、一般的に外角のボールを打つほうが難しいと言われている理由として以下のことが挙げられます。
①ボールが打者から離れているため視覚的に捉えにくいため、空間認知能力が必要。
②バットが身体から離れることでバットを操作するのに大きな力が必要になるため、力が弱い選手はバットヘッドが下がるなど上手く操作できない。

はじめに、①の課題を克服するにはある程度反復練習する必要がありますので、外角のボールを前方から投げてもらって数多く練習をしましょう。
次に、②の課題を解決するには、力がなくても打てる打撃フォームを習得する。もしくは、体力的な課題を克服することやバットを軽くするなどしてバットを操作できる状態になることが大切です。
以上のことから、野球力相談室では②の課題解決のための方法をご提案させていただきます。
まず、技術的な課題としてバットとボールを直角に衝突させる必要があります。この技術を獲得するためのドリルとして「テニスラケット打ち(※1)」をおすすめします。

※1 テニスラケット打ち
throw

このドリルでは、ボールとラケットが直角に衝突させなければ、ボールにスピンがかかってしまい上手く打ち返せませんので、しっかり打ち返せるように繰り返し練習しましょう。どちらか一方の腕の問題である可能性もありますので、片手ずつ練習してみて、両手とも上手く打てるようになったら最後に両手でラケットを握って打ち返しましょう。両手でも上手く打ち返せたら、バットに持ち替えて、そのときの意識でボールを打って練習してください。ボールの芯を的確に捉えるためには、「ティッシュ打ち(※2)」や「ハネ打ち(※3)」も効果的ですので、これらのドリルもライナーで打ち返せるように練習してもらえると良いでしょう。

※2 ティッシュ打ち
throw
※3 ハネ打ち
throw

次に、体力的な課題として遠心力が大きくかかってバランスを崩しやすい状況でバランスを維持するための、下半身および体幹の強化が必要になります。アウトコースを打つときは右打者の場合に右肩が下がりすぎてしまったりして、姿勢(軸)が崩れてしまうケースが多く見受けられます。これらの課題を解決するためには、「プランク(※4)」や「サイドプランク(※5)」、「レッグランジ(※6)」のドリルをおすすめします。これらのドリルをしっかりと姿勢(軸)を意識して行ってもらうことで、バランスを崩しにくくなるでしょう。

※4 プランク
throw
※5 ハネ打ち
throw
※6 レッグランジ
throw

また、右打者の場合は、左脇が空いてしまい、バットヘッドが下がるケースも多く見受けられますので、そういった場合は野球力ドリルにはまだありませんが、「逆手スイング」をしましょう。すなわち、右打者の場合左手がバットヘッド側、右手をグリップ側にしてバットを握り、左脇が空かないようにしてスイングおよびバッティング練習を行います。最初はぎこちない感じがするでしょうが、慣れてくれば脇が空かなくなったサインですので、慣れてきたら順手にバットを握り直して練習しましょう。

野球コーチング

金堀 哲也氏 Tetsuya KANAHORI

筑波大学大学院 人間総合科学研究科 体育学専攻 修士課程修了。
野球力プログラムアドバイザー。
硬式野球部コーチ(2008~)。
首都大学野球リーグ首位打者1回、ベストナイン2回獲得。