聞きたかったこと、知りたかったことの答えがあるかも!?
これまでメンバーから寄せられた質問・相談に、アドバイザリースタッフがご回答しています。

相談ファイル:No.6

相談者
子供が小3で野球をはじめて3ヶ月が経ちます。ほめて育てた方が良いという事を聞きますが、ほめると調子に乗るのではないかと思い、自分の野球経験も含めて基本的に厳しく接してしまいます。
子供は野球が好きでやる気があり、厳しい事を言っても今はついてくるのですが、この先が不安です。一緒に練習していく上で良い接し方のアドバイス等いただければ幸いです。
布施先生
おそらくお父さんからのご質問だと思います。野球経験のあるお父さんが将来高校や大学まで野球をやって欲しいと思う気持ちが伝わってきます。

この時期のお子さんにとって一番大切なのは『自分で自信を作れる』ようになれるか、です。もちろん技術的な基礎といったものも大切ですが、将来の成長にとって最も大切なものを育てる時期でもあります。

その為に、指導する際にはいつも『なぜそうするか』と考えてあげることです。その『なぜ』は、そうすることで『自分で自信を作れる』に繋がるようにします。

例えば、誉めて『調子に乗れる』のでしたら、それは自分からモチベーションのスイッチを入れるための練習としては最高です。子供は自分ではどこにスイッチがあるかわかりません。お父さんにスイッチを入れてもらって気づくのです。
そして、次の段階で自分でもスイッチを入れたり、スイッチを探すのが楽しいと思ってもらえたら、自分でいつでもモチベーションを高められる、つまり問題に立ち向かえるようになってきます。
その問題で答えが出たり、解決できるかはもっと高学年、もしかしたら中高生になってからの課題です。その為に今必要なのがスイッチ作りです。

そして、もしその時に調子に乗りすぎて努力が出来なくなってしまったら基準を上げてあげることです。子供からみるとちょっと厳しくなったように感じます。
十分そのことができるようでしたら初めの頃のようにいつも誉めるのではなく、誉める間引きをします。つまりもう『いつもできること』になってしまったことでは簡単に誉めないようにします。ただし、まったく誉めなくなるのはだめです。

また、厳しいことを言うということは基準を上げるということですから、その基準を達成できたら、もう一段上げる前に、そこまでのことができた事を伝えて(認めて)あげてください。
基準を上げるのは全くかまわないのですが、ちょうどよいバランスでうまく上げていってください。

ともかく焦らないことです。コーチが焦るとうまくいきません。
技術的なことは『自分で自信を作れる』というベースが出来ればいつか追いつきますし、『自分で自信を作れる』というライフスキルは将来最も頼りになる武器になります。それを作れるのがじっくり時間をかけられる今なのです!

スポーツ心理

布施 努氏 Tsutomu FUSE

ノースカロライナ大学グリーンズボロ校大学院 博士号取得。
慶應義塾大学スポーツ医学センター研究員。
(株)ティア・ウェイ代表取締役、NPO法人パフォーマンス・エクセレンスラボ代表。
米国スポーツ心理博士。

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